1研究目的:中山間地域A県B市C地区において10年以上に亘り実施されている「高齢者見守り活動」に焦点をあて、この活動に関する地域住民の意識・態度分析を通して、地域特性を踏まえた「住民参加」の維持・拡大を促進する諸条件について整理した。2研究方法:C地区住民自治組織との協議を踏まえ確定した調査票をもとに、2024年1月~2月にC地区在住20歳以上男女600名対象質問紙調査を行い、IBM-SPSS-BASE(Ver.27)を用いて集計分析。対象者抽出は選挙人名簿抄本を標本台帳とする系統無作為抽出法、調査票配布回収は郵送法。有効回答数275、有効回収率45.8%。分析手順としては、「参加経験」を目的変数、基本属性8変数、活動支持理由3変数、地域評価3変数を説明変数とする回帰分析を行い、2014年12月実施調査結果との経年比較を通して、地域特性を踏まえた「住民参加の維持・拡大」を促進する条件を抽出整理した。3倫理的配慮:山口県立大学生命倫理委員会承認の下に実施(承認番号2023-31)。4結果:1)2014調査及び2024調査の両方において「参加経験」に影響を持つ変数が「年齢(50歳以上)」「地域活動(あり)」、2)2024調査のみに影響を持つ変数が「近隣交流深度(深い)」「近隣交流頻度(高い)」「支持理由(将来利己)」であった。5考察:結果1)から、次世代の担い手を獲得するために50歳未満世代の地域活動への参加促進に努める必要があること、結果2)から、近隣交流機会の維持創出ならびに非近隣住民による見守り方法の工夫が必要とされていることが明らかとなった。※本報告は、JSPS文部科学省科学研究費補助金助成事業基盤研究C「地方中小自治体における高齢者在宅生活支援システム構築方法に関する比較事例研究」(課題番号19K02241)の助成を受け実施。