本研究では,日本版デュアルシステムによるホームヘルパー養成に焦点を当て,(1)養成対象の問題,(2)職業教育の方法・技術の問題,(3)介護分野とデュアルシステム,(4)デュアルシステムそのもの,の4点から,介護分野で効果的に活用されるための課題を検討した.福祉人材育成という視点からデュアルシステムを活用することが必要で,第一に教育プログラムの工夫が必須の命題である.カリキュラム時間数を増やすこと,とくにホームヘルパーは生活全般の支援にかかわることから家事援助技術に力をいれることが必要である,福祉を学ぶことによって訓練対象者自身の意識の変化,「働く意欲」の強化をもたらす可能性もある.また,彼らのもっている力を引き出すためには高齢者介護分野のみならず,障害者福祉分野での就職先の開拓も課題であると考える.日本版デュアルシステムを活用し現場に通用する福祉人材を育成するためには介護現場と教育現場との双方のシステムへの積極的な働きかけが今後も必要である.