平成30年度前半には、1回目(終了開始時)61人、2回目(終了開始6か月後)45人、3回目(終了開始1年後)35人分のデータ収集が全て終了した。その後の作業として、データの入力およびデータクリーニングを行い、データの分析を開始した。
データの件数は想定した人数よりも少ないものとなった。その原因として考えられることとしては、就労を継続することができない人がいることに加え、調査開始から1年が経過してのアンケート協力となるため、初期の協力しようとする意識が低下し回答が得られなかった可能性も考えられる。しかしながら精神障害者の就労とリカバリーに関する実証研究はあまり見られず、また本研究が縦断的研究であることから、これまでにない貴重なデータが得られたと考えている。
本研究の中心となる、就労して1年の間にリカバリーが促進されるかどうかについての解明には、始めにリカバリー評価尺度(RAS)の合計得点が向上しているかどうかについて分析を進めているところであるが、RASの下位項目別に分けての詳細な検定や職務満足度やサポート体制との関連などの分析など、多くの分析作業が必要であり、その後の成果のまとめ、学会発表、研究報告書の作成と配布等を年度内に完了させるのは困難と考え、1年間の研究期間延長が認められたところとなっている。
平成30年度後半には、長年米国の精神障害者の就労に関する研究を行ってきた研究分担者が加わったことにより、幅広く英語圏の文献をレビューできるようになってきており、1年間の延長をすることと合わせて、より深い研究成果を得ることができると考えている。