論文

基本情報

氏名 中村 仁志
氏名(カナ) ナカムラ ヒトシ
氏名(英語) NAKAMURA Hitoshi

タイトル

こころの問題に対して「色彩樹木画」を用いた介入

単著・共著の区分

共著

誌名

山口県立大学学術情報、看護栄養学部紀要

 

第5号

ページ

 

発行年月

201203

著者

中村仁志、太田友子、丹 佳子

査読の有無

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記述言語

 

概要

中学において抑うつ傾向を示す生徒が増加しているとされ、中学生を対象に調査を行ったところ、実際、抑うつ傾向を示す生徒が多いことが明確になった。しかしながら。こうした抑うつ傾向などの心の不調により起こる問題に対して、保護者、教師など生徒を取り巻く者の理解度は様々であり、それによって対応もまちまちになってくる事で状況を複雑にしている。現在、中学校生徒を対象としたスクールカウンセリングの一環として、心の問題に対して内面を理解・分析するため心の健康調査および「色彩樹木画」を用いることで生徒の支援を行うとともに、保護者、教師などの生徒理解のために利用している。そこで心の問題と「色彩樹木画」の特徴との関連をより深めるための分析を行った。【方法】A市B中学校1年生全員88人を対象に平成22年5月~6月の放課後、「心の健康調査」としてクラス毎に悩みの対象7項目、抑うつに関連した心の問題31項目(うちDSRS-C18項目を含む)および16色のクレヨンで描く「色彩樹木画」と描いた木についての質問に回答を求めた。「色彩樹木画」は絵だけからではなく、それに伴う質問により、特徴を多面的に捉えられるようにし、学校生活での生徒の心の健康状態と比較した。【結果・考察】調査では有効回答者数は80人であった。学校は73人(91.3%)が「楽しい(少しを含む)」、勉強は20人が「分からない(少し含む)」と答えていた。悩みについては、勉強の問題が最も多く22人(27.5%)だった。「先輩との関係は8人(10.0%)が悩んでおり、小学校時代と違う学習、人間関係に戸惑っている姿が見られた。先輩との関係で悩んでいる者は女子が有意に多かった。DSRS-Cは平均10.9±6.3点であり、男女間で有意差はなく、最高26点(満点36点)であった。16点(cut-off point)以上の抑うつ傾向を示す生徒が20人(20%)に見られ、「やろうと思ったことがうまくできない」は「いつもそうだ」が17人(21.3%)で、「時々そうだ」を含めても最も多く63人(78.8%)だった。DSRS-C以外の質問項目では「嫌なことを思い出す」が最も多く59人(73.8%)に見られた。DSRS-C16点以上の20人の生徒の「木の大きさ」と「描いた木の思い」に対する評価でDSRS-C16点未満の生徒と有意な差が見られ、木の絵の質問の分析がこころの様子を知るために有効と考えられた。