コメントを依頼されたのは「ADHD男児との遊戯療法過程」であり、小学生男児F君との約1年3か月、47回にわたる遊戯療法の記録である。
事例のF君は来談時小学2年生であった。注意力がなく、落ち着きがない、衝動的で危険な行動をするADHDと診断を受けた子どもである。両親とも若くして親となり、F君の行動に手を焼き、お尻や手を叩き、躾けをしていたという経緯がある。
面接の経過を第1期から第4期に分け、治療経過の変化をまとめている。第1期では「Thとの出会い」を、第2期では「“作品制作”甘えと約束破り」、第3期では「主治医の変更と自己主張」とし、第4期には「“机作り”変化と別れの受容」として、Thとの別れにより治療の終止符を打っている。