本研究は、高齢者を自宅で介護している家族介護者を対象として、においの負担感がある者とそうではない者のにおいにより生じる思考や感情、対処の相違、介護場面に及ぼす影響を検討することを目的とする。対象者として、要介護・要支援状態の家族を介護している11名であった。インタビューを行い、KH Coderによるテキストマイニングを行った。対象者を「においの負担あり群」と、「においの負担なし群」に分け、カテゴリーを命名した。その結果、両群で共通する点として、介護者は、高齢者の口臭や排泄物臭による負担感を感じており、換気や消臭剤で対処していた。においの負担あり群の特徴として、介護者は、汚れ、においのしつこさに苛立つといった、においに対するネガティブな感情が起きていた。においの負担なし群の特徴として、ストレスになる前ににおいのもとを除去すること、においがあるのは仕方がないという妥協、他者に話すことで気分転換を行うといった工夫がみられた。