研究の目的は、行政保健師が職務中に勤務している地域住民からの暴力の実態と暴力を受けた際の保健師の認識、感情や思考、対処を明らかにすることである。
兼保健師を対象に、無記名自記式質問紙調査行った。その結果、過去1年間に地域住民からの暴力を経験した保健師は約7割であった。暴力を受けた保健師の多くが暴力として認識していないこと、そして受けた暴力の種類は「言葉の暴力」「いやがらせ・威嚇等」が多く、暴力を受けた場面は「電話相談」が多かった。このことより、保健師は、事前のリスクアセスメントと場面に応じた未然防止策の検討、暴力発生時には、対応した保健師の心理的影響へのサポートや再発防止策の検討といった職場内での情報共有と協議の場が必要と考えられた。