分娩介助技術の修得状況とは反し、「対象者」への願いに対応し、貢献できる技能の項目が低下したことは、リアルな経験から自己評価が厳しくなった可能性がある。「専門性への自負」の得点は維持されていることから、理想としている助産師像を持ちながらも、経験不足からくる未熟な助産ケアと向き合う現実と対峙している可能性がある。学生の内面的な自己課題が浮き彫りになったことから助産師としてのアイデンティ形成に揺らぎが生じたと考えられた。 助産師学生の職業的アイデンティティ形成に分娩介助経験の影響は強く、助産学実習におけるアイデンティティ形成の支援として分娩経験に伴う課題に対応した関わりや自己の課題に対する内省を深めながら自己効力感が高まるような支援が示唆された。