教育・保育施設における給食提供サイズの現状と影響要因に関する研究
科学・技術研究
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89-94
寺田 亜希, 三上 奈々, 加藤 元士, 德田 和央, 人見 英里
乳幼児期は咀嚼機能の獲得期に分類され、この時期の咀嚼は子どもの発育・発達に不可欠である。一方で食品による窒息事故のリスクが高い時期であり、教育・保育施設における給食では、誤飲・誤嚥事故への対策が欠かせない。しかし、給食の提供サイズが小さすぎる場合には、園児の自然な咀嚼力の発達を促す機会の損失につながることが危惧される。本研究では、教育・保育施設における2~5歳までの給食の提供サイズの実態把握と給食の提供サイズに影響を与える要因について明らかにすることを目的として、山口県内の幼稚園、保育所、認定こども園425施設を対象とするアンケート調査を実施した。給食の提供サイズは、提供頻度の高い食品と料理種別(主菜、副菜、汁物、果物)ごとに調査した。提供サイズをもとに調査対象施設を中央値未満、中央値以上の2群に分け、食事提供を取り巻く要因の分布についてχ2検定を用いて検討した。その結果、施設によって同じ年齢の園児に提供されるサイズが異なる現状が明らかになった。また、ミールラウンドの頻度や献立作成者の経験年数、給食委託業者の利用、保育職員との連携等が提供サイズに影響を与える要因となることが示唆された。