【目的】昨年度の総会では山口県産の岩国レンコンを用いた茶の機能性について報告した。本研究では、レンコン加工品の製造過程で廃棄される皮を活用し、健康茶としての可能性を探るために試作を行い、その特性を明らかにすることを目的とした。
【方法】試料として2024年3月に購入した岩国レンコン及び皮を用いた。試料は恒温通風乾燥機を使用して50℃、20時間乾燥した後、身では150℃ 10分、180℃ 5分、皮では150℃ 5分、180℃ 5分の各条件でオーブンレンジを用いて焙煎を行った。砕いた試料4gに対して熱湯100mlを加え5分間浸漬したものを茶(浸出液)とした。この茶を用いて、色差(L*a*b*値)、カリウム、ポリフェノール、DPPHラジカル捕捉能を測定するとともに味覚分析(味認識装置:インテリジェントセンサーテクノロジー)、香り分析(におい識別装置:アルファー・モス・ジャパン)、有志による試飲調査を実施した。
【結果】(1)色差:同じ焙煎温度・時間では身と皮に大きな差はなかった。(2)カリウム濃度:身よりも皮を用いた茶で多く含まれていた。(3)ポリフェノール:身よりも皮を用いた茶で多く含まれていた。 (4)DPPHラジカル捕捉能:身よりも皮を用いた茶で高かった。(5)味覚分析:対照とした市販麦茶に比べ、身では塩味や旨味の値が高く、皮は渋味刺激や苦味雑味の値が高い結果となった。(6)香り分析:焙煎温度・時間が上がるにつれて、焦げに由来する香り成分が増えた。(7)試飲調査:身の180℃ 5分浸出液が最も好まれたが、皮を用いた浸出液はそれに次いで良い評価を得た。
【結論】皮を用いたレンコン茶は、身を用いたレンコン茶よりもカリウムやポリフェノールを多く含み、試飲調査でも総合評価で支持された。これらの結果から、皮を利用したレンコン茶は健康茶としての活用が期待できると考えられる。