日本国内の伝統工芸・伝統産業を維持するためには、受け継がれてきた素材とその製法を保全することが必要である。本研究では、日本産の素材(以下 国産材)を活用した伝統工芸に着目し、異素材のコンビネーションによる相乗効果を狙って、食器のデザインをしている。
2012 年4 月より2022 年8 月現在まで、国産材を使用している浄法寺漆(岩手県二戸市)と萩ガラス(山口県萩市)の連携による工芸品、Urushito Glass(ウルシトグラス)をデザインした。2013 年度の発売以降、同年にグッドデザイン賞を受賞し、2016 年には、日本の地方産品を世界へ発信するThe wonder 500 にも選定されている。
社会動向と販売実績を考慮しながら新商品を検討し、デザイン活動を継続している。本稿は、開発開始から10 年間のデザイン・ディレクションにおける、開発・展示・販売などの記録である。