地域包括支援センターの専門職が地域ケア会議において,地域ケア会議の理解の促進や地域包括ケアシステム構築のための能力や意欲を身につけることができたかの成果を評価し,またその成果にはどのような要因が影響しているかを明らかにし,地域ケア会議の推進上の課題を探索することを目的とした. 高齢化率上位5県のすべての地域包括支援センターの地域ケア会議に参加したすべての専門職を対象とし,郵送留置自記式による無記名質問紙調査を行った.調査内容は,対象者の基本属性,地域ケア会議に対する基本的理解に関する質問,地域ケア会議に参加した所感に関する質問,地域ケア会議運営の阻害要因に関する質問および地域ケア会議で得られた成果に関する内容とした.回答結果を単純集計するとともに,地域ケア会議の成果に影響を及ぼしている要因を共分散構造分析により分析した.
地域包括支援センターの専門職は,個人的な地域ケア会議に対する準備を前提として,地域ケア会議の基本的理解をし,自己効力感をもつことで具体的な成果が得られるという認識の構造をなしていた.
地域ケア会議推進上の課題として,地域包括支援センターの専門職は,参加者の地域ケア会議に対する理解度を把握し,効果的に地域ケア会議の趣旨や議論する課題や意図を明確に事前に伝達する工夫が必要である.次に,地域のインフォーマルな人的資源の開発という視点をもって地域包括支援ネットワークの一員となり得る人に参加を呼びかけ,さらに地域住民の主体性を形成する意図をもって地域ケア会議に参加する必要がある.さらに,地域ケア会議の検討技術の向上のためには,熟練した専門職が教育的スーパーバイザーを担うことが必要である.
特に,地域ケア会議に対する自己効力感は地域ケア会議の成果を得るための必要不可欠な要因であることが示唆された.