本研究は、看護管理者が臨地実習課題についてどのように捉え、実際に対応しているのかを通して、臨地
実習に伴う課題と課題集約のためのしくみの現状について明らかにすることを目的とし、A 県内すべての
病院 148 施設を対象に自記式質問紙調査を行った。調査票は、郵送にて配布し同意の得られた施設より回答
を得た。本調査実施にあたっては、山口県立大学生命倫理委員会の承認(承認番号 25 - 14)を得た。148
施設中 56 病院からの回答を得られ、そのうち 2013 年度に臨地実習を受入れていた施設 38 病院を分析対象
とした。看護管理者がとらえる臨地実習の課題は、臨地実習の指導を日常業務と併行していることによる時
間外業務の増加や実習指導者自身の負担感の強さがあげられていた。一方で、臨地実習を受入れることによ
る利点も 97.4%施設の管理者があると回答していた。臨地実習に関する課題集約のためのしくみとしては、
実習指導者を直接招集する機会を持っている施設が多くみられた。しかし、実習打合会等実習指導者以外の
外部者の同席がある場で把握している管理者も多く、書式などを用いて定期的に問題を集約するしくみを持
つところは少なかった。また、臨地実習の課題への対応は多くが師長に委任されていた。看護部として、看
護部の看護職員全員、または他部署に対して、臨地実習に対しての指針や方針を示している施設は約 50%
であった。