本研究は「小児看護学実習において小児看護技術経験および習得の現状を明らかにする」ことを目的として行った。2017年度に小児看護学実習を実施した学生のうち本研究への協力を同意した者47名の実習終了時に提出する「小児看護技術経験表」を研究対象とし、「小児看護技術経験表」の経験結果に記載された経験レベルの自己評価を単純集計し分析した。その結果、全14カテゴリー108項目のうち、指導監視下あるいは単独で実施できたと回答した学生の割合が9割以上であった項目は23項目であった。そのうち、アセスメント技術では6項目、アセスメントにつながる技術では4項目、患児や家族への介入に関する技術では2項目について9割以上の学生が指導監視下あるいは単独で実施できたと回答した。これらは、2007年の調査結果を受けて学内での小児看護学関連の授業および小児看護学実習で、学生が意図的に看護技術経験に取り組めるよう働きかけたことが効果的でったと思われる。一方で筆者らが2007年に同じ方法で実施した調査結果と比較したところ、特に清潔援助に関する項目で「機会なし」と回答した割合が上昇していた。以上の結果から、学生の技術実施への意識が向上するよう継続して働きかけていくこととともに、今後実習場所や受持ち患者の年齢や診断名、入院期間、患児の状態、家族の付き添いなどの実習状況と学生の技術経験の関連を明らかにし、そのデータをもとに実習施設と調整することで、学生の技術経験率をさらに向上させることにもつながることが示唆された。