論文

基本情報

氏名 佐々木 直美
氏名(カナ) ササキ ナオミ
氏名(英語) SASAKI Naomi

タイトル

性の多様性の理解に向けた取り組み : セクシュアル・マイノリティ当事者による教育機会を通して

単著・共著の区分

単著

誌名

日本生殖心理学会誌

6

1

ページ

23-31

発行年月

2020

著者

佐々木直美

査読の有無

[査読有り]

記述言語

日本語

概要

本研究は、性的少数派当事者による性の多様性に関する学習を通した大学生への学習効果と課題を検討したものである。対象者は、年齢が10代~20代の102名であった。70分の講演会の前後に行った質問紙調査をもとに量的および質的分析を行った。対象者によるLGBT、SOGIの認知度は、「だいたい内容を知っている」がLGBTでは全体の88%、SOGIが5%、「知らない」がLGBTは0.1%、SOGIは90%であった。講演会前後の意識の変化として、「恋愛や結婚は男性と女性との間でするものだと思う」「異性を好きになることは当たり前だと思う」「恋人がいるとしたら、女性には男性のパートナー、男性には女性のパートナーだと直感的に想像する」「LGBの人が友だちの中にいても気にならない」「LGBの人が家族にいても気にならない」といった質問項目で有意差が見られ、講演会前と比べて後の方が性の多様性に対して受容的に変化した。講演会前後の意識の変化に対する自由記述では、講演会前は、「特別視してしまう」「自分とは関係がない」などがみられたが、講演会後は、「その人らしさの尊重」「当たり前という感覚や枠を作らない」などがみられた。このことから、本研究のような講演会は、「誰もが皆、性の多様性を持つ一人である」といった視点を持つ手がかりとなり有効ではあると考える。しかし、その後の日常生活において、講演会で新た意識や態度が個人の日常生活にいかに行動、意識変容が継続して起こっているかは検討していない。この点は、今後の課題である。