本研究は、セクシュアルマイノリティ当事者の日常生活上の困りごとの語りを内容分析の手法を用いて質的に分析したものである。対象者は4名で、年齢は40歳前後、身体的性別は女性で、パートナーの身体的性別は女性であった。実施方法はグループインタビューであり、困りごとが語りつくされるまでインタビューを行ったため4回実施することとなった。困りごとの語りの内容分析の結果、80コード、25サブカテゴリー、7カテゴリーが抽出された。カテゴリーは、「社会の固定観念」、「自分らしくいることの葛藤」、「時代の変遷」、「性的少数派の受け入れに向けて動き出した社会」、「未だ残る真の理解への壁」、「自分なりに見つけ出した生き方」、「生き方を支えるもの」であった。このカテゴリーから、困りごとだけでなく自らを支えるものという視点があらわれたため、考察ではその2点に加え、生涯発達の視点からみたライフイベントの選択についても検討を行なった。