本研究では,大学生を対象として,小学校,中学校,高校を振り返る形で保健室外での養護教諭との関わりが,関わり後の保健室利用に与える影響について量的,質的に検討した.ここでは,全校種に共通して見られた結果について述べる.保健室外で養護教諭と児童生徒が関わった学校行事や出来事は,「修学旅行」,「運動会」,「健康診断」がもっとも多かった.また保健室外での関わりの頻度が多いと,「関わり後の保健室利用への影響」が大きく「保健室の利用状況」が多かった.次いで,保健室外での関わりによりポジティブ感情が多いと「関わり後の保健室利用への影響」が大きく,「保健室の利用状況」が多く,「保健室の印象」「養護教諭の印象」が良く,「保健室を利用したい気持ち」が高かった.一方、ネガティブ感情が多いと「養護教諭の印象」が悪かった.すなわち,量的視点からは保健室外での関わりの頻度が多いほど,また関わりにおいてポジティブ感情をともなうほど,関わり後の保健室利用に影響がみられることが示唆された.一方,質的視点においては,保健室外での関わりが,関わり後の保健室利用に与えた影響は,肯定的影響,否定的影響,影響なしという3つが抽出された.肯定的影響については,保健室外での関わりを通して養護教諭の人柄が分かり,養護教諭との関係の構築が出来,養護教諭との関係が深まるといったものであった.否定的影響については,養護教諭の印象によって養護教諭の人柄を判断したり、保健室外での関わりを通して養護教諭の人柄が分かってくる中で,関係が作れないと児童生徒が感じてしまった場合,関わり後の保健室利用に対して否定的となることが示された.