本研究では、不妊治療経験者が治療を続ける心と支援者によるそのサポートに着目して先行研究を取り上げながら概観した。不妊治療中には、強い不安や傷つきを感じていたり、逆にそれらを感じないようにしようとする揺れる心がある。不妊のゴールの一つは、不妊である自分を認め受け入れていくことである。その際、不妊治療をしても妊娠できない期間、自分の年齢、閉経などが治療以外の方向性を志向する素地となる。支援者は、不妊治療にかかる葛藤や複雑な思いに対して傾聴し、共感的理解を示すとともに、人生選択において自由に意思決定していけるように支持的に関わっていくことが必要である。