本研究では、未就園の第一子育児中の6名の母親を対象に、母親と未就園の第一子との間で3回(往信および返信各3回、計6通)のロールレタリング(RL)を実施した。研究目的は、金子(2013)の記述コード分類にもとづき、3回を通してRLの記述内容にみられる変化について検討することである。分析方法は、コクランのQ検定を用いχ2値をもとに検討を行った。RL1回目の往信では<感謝><好意や甘え>が表現されていた。このことから子どもが生まれて来てくれたことや成長に対する喜びや愛情の率直な表出がなされていたと考えられた。RL2回目の往信では、<自立や成長の報告、決意>が表現されていた。これには、小さな我が子が快適に過ごせるように環境を整え、そばで支える母親としての自覚と責任ある姿勢がみてとれた。またRL2,3回目の往信では<内省や内言、気づき>が表現されていた。RL3回目の返信では<事実説明>が表現されていたことから、ロールレタリングには、多忙による忘れてしまいがちな、育児の喜びや感動といった自身の感情や子どもの成長の記録としての利点もあると考えられた。