本研究の目的は,絵本セラピーに参加した「感想」の質的分析に基づき、参加者の主観的体験について検討することである。絵本セラピーは、月1回実施した。絵本セラピーは、回ごとに「自分を知ろう」や「幸せを感じよう」といった異なるテーマで実施した。それは5冊の絵本を同じ読み手が進行する内容であった。参加者の参加は義務ではなく、好きな時に参加できた。絵本セラピーに参加した参加者の主観的体験は次の通りであった。参加前は,参加者は、「絵本は子どもが読むもの」という意識を持ち、また絵本セラピーの効果への疑いを感じていた。しかし、参加後は,参加者は、絵本からさまざまなメッセージを受け取ることができ,気持ちの安定や内面への気づきが得られた。また参加者は、周囲に思いやりや関心を向けることや日常生活上でも絵本を読むといった行動変容がみられた。