論文

基本情報

氏名 佐々木 直美
氏名(カナ) ササキ ナオミ
氏名(英語) SASAKI Naomi

タイトル

行政における不妊支援の利用に関連する要因 : 不妊に悩む女性の経験と対処に着目して

単著・共著の区分

共著

誌名

日本生殖心理学会誌

10

1

ページ

14-21

発行年月

2024

著者

石村 美由紀, 佐々木 直美

査読の有無

[査読有り]

記述言語

日本語

概要

不妊に悩む女性の経験と対処に着目して、行政における不妊支援の利用に関連する要因を明らかにしていくことを目的とし、全国に居住する不妊に悩む20歳以上49歳以下の既婚女性を対象に無記名式のWebアンケート調査を実施した。質問内容は、不妊の辛さ、不妊の悩み・疑問といった「不妊の経験」と、相談相手、最初に行った対処、インターネット利用、医療機関受診といった「不妊に対する対処」、そして「行政における不妊支援の利用」とした。倫理的配慮として、Webアンケートの冒頭の告知文にて研究の趣旨、研究参加の自由意思の尊重、研究撤回の自由、個人情報保護などを説明し、所属施設の研究倫理委員会の承認を得て実施した。有効回答は521名(有効回答率88.2%)であった。
行政における不妊支援を利用したことがある者は85名(16.3%)と1割程度だったが、実際に利用した不妊女性は、行政における不妊支援によって問題を解決するための情報や知識に関しては76.4%、情緒・心理的サポートに関しては68.2%の者が、得ることができたと評価していた。さらに70.6%の者が機会と必要性があればまた利用したいと思っており、ニーズが高い不妊支援であることが明らかになった。不妊の悩み・疑問に関しても、行政における不妊支援を利用した者は、「不妊の疑い」などの不妊であるが故の悩み・疑問や、「不妊症・不育症の検査・治療に関する知識・情報」などの不妊治療に関する悩み・疑問が有意に少ないことが明らかになった。行政における不妊支援が不妊の悩み・疑問を解消することに有効である可能性がある。
行政における不妊支援には相談事業のみならず、不妊症・治療に関する医学的知識・情報の提供や講演会、交流会など様々な支援があるため、行政における不妊支援の幅広い支援内容と支援効果を周知し、不妊に悩む人が利用しやすい体制を構築する必要がある。