本研究の目的は, 患者のがん治療の時期の違いによる看護師のもつジレンマの特徴について検討を行うことである. 未成年の子どもをもつがん患者の看護に携わった経験をもつ看護師を対象とし, インタビューを行った. 本研究では, 「看護師として感じていたジレンマ, もっとこうすればよかったと感じること」を報告する. 対象者は看護師15名, 年齢は27歳から58歳で, 平均は41.4±9.93歳であった. 有している資格は, がん看護専門看護師が4名, がん化学療法認定看護師が1名, 緩和ケア認定看護師が1名であった. テキストマイニングのためのソフトウェアであるKH Coderを用いて, ジレンマについて述べられた内容に関して計量テキスト分析を行った. 対応分析では, 治療期は「計画」「説明」「家族」等, 再発・進行期は「緩和」「ケア」等, 終末期は「面会」「亡くなる」等が特徴語として得られた. 時期ごとの看護師のジレンマの特徴を共起ネットワークで検討した. 治療期は, 【医療者による母親や子ども, 家族に理解しやすい説明の模索】【母親の意思を尊重した上での, 子どもに病状説明する際の支援】等6個のカテゴリー, 再発・進行期は, 【母親の「緩和」の認識の誤解により必要な緩和ケアを受けてもらうことの難しさ】【家族を思い治療に励む母親に寄り添うケアと, 感染予防対策との間の模索】等4個のカテゴリー, 終末期は, 【子どもへの告知に対する母親の意思の尊重と看護師の葛藤】【医師からの情報と母親の希望をふまえた, 亡くなるまでの限られた入院時間でできる看護の模索】等5個のカテゴリーが得られた. 看護師が感じるジレンマは, 患者と家族にとって「自分はどうあるべきか」「どう行動すべきか」という, それぞれの看護師の看護観と倫理観が影響していると考えられた.