本研究の目的は、ポスターを活用した献血情報提示が大学生の献血意欲に与える影響を検討することである。山口 県内のA大学看護学生175名(19.42±1.13歳)を対象に、エレベーター内に献血情報と日本赤十字社が公表する血液 在庫状況を掲示したポスターを2週間提示した。その後、アンケート調査を実施した。175名のうち、献血経験あり の者が29名(16.6%)、なしの者が146名(83.4%)で、献血講義受講経験ありの者が72名(41.1%)、なしの者が 103名(58.9%)であった。いずれも経験なしの者が有意に多かった。調査期間中にエレベーターを利用した者は122 名(全体の69.7%)で、そのうちポスター閲覧者は、64名(52.5%)であった。献血経験がある者でポスター閲覧を している者、講義受講経験がある者でポスター閲覧をしている者が多かった。このことから献血経験や講義受講経 験がある者は献血情報に意識が関心をむける可能性がある。また、13項目の献血情報に関して最尤法プロマックス 回転による因子分析の結果、献血の意義や血液の使用用途といった「知識や制度の理解」、献血にかかる時間や流 れといった「献血の流れと注意点」、献血ルームの場所や献血協力者への対応といった「献血サービス情報」の3因 子が得られた。「今から6か月以内に献血に行こうという意欲」を目的変数とし、「学年」「献血経験」「講義受 講経験」「知識や制度の理解」「献血の流れと注意点」「献血サービス情報」を説明変数とする重回帰分析の結果、 献血意欲には「献血経験」「知識や制度の理解」「献血の流れと注意点」が有意に関連した(調整済みR²=.34)。 一方、「学年」「講義経験」「献血サービス情報」は有意な関連を示さなかった。さらに、ポスターによる日々の 献血状況の提示が献血への関心につながる理由について内容分析を行った。関心につながる理由には、不足血液型 の可視化やリアルタイム情報による献血必要性の実感などがみられた。これらのことから、献血に関する知識の提 供を早い時期から継続して実施しつつ、献血をする側であるだけでなく、誰もが提供を受ける側となり得る可能性 があるという自分事として感じられるような情報提供が有効であることが示唆された。