本研究は、約13万人に及ぶ不登校児童生徒の受け皿としての機能が高い適応指導教室(教育支援センター)等の学校外施設に対して、客観的かつ総合的な調査を行い、望ましい学校外施設の基準について、施設設備、指導員の状況などのハード面、具体的な活動内容や学校復帰等のソフト面から明らかにしていくことを目的とするものである。
2002年11月〜12月にかけて1,184箇所実施した調査(適応指導教室等約350ヶ所、適応指導教室等に在籍している不登校児童生徒約1,156人)を分析し、2002年度に、アメリカ・カリフォルニア州における不登校生徒への対応制度と実態に関する海外調査と資料収集を行った。2003年度は、現地調査を全国各地13ヶ所程度実施した。2004年度は、これらのデータを分析考察した。
これらの結果から、適応指導教室等の職員構成は2人が全体の1/4であり、スタッフは教員出身者が多数をしめ、心理系職員・医療系職員等の専門家の不足が明らかになった。スタッフからの意見として、不登校に対する行政の理解不足、職員の配置、専門家の配置、施設設備の充実を求める意見が多くみられた。子どもたちの適応指導教室等に対する評価は高く、週当たりの出席日数の多さにもつながっていた。
また、本研究では適応指導教室等を機能面からタイプ別に分類し、問題点と課題を明らかにし、不登校児童生徒の情緒的混乱タイプ・非行タイプに応じた効果的な指導援助のあり方のプログラムや、アメリカ合衆国における不登校の取り組みの現状として、カリフォルニア州の不登校・怠学介入プログラム、特別支援教育と不登校とのかかわりについて紹介した。さらに、今後の不登校の対応施策について、ホームスクーリング(訪問教育)、教育支援センターを学校の一部に、スクールカウンセラーを自治体職員に、等についてまとめた。