【目的】本研究は,知的障害特別支援学校に在籍する子どものセクシュアリティの学習ニーズ,所属学部による学習ニーズの特徴を示すことを目的とした.
【方法】知的障害教育を主とする国立大学法人の附属特別支援学校42校の小・中学部,高等部に在籍する児童生徒並びにその保護者2,296組を対象として質問紙調査を行った.主な内容は,養育する子どもに関する項目:性別,所属
学部,障害名,及び子どもの性に関する興味,関心の様子等で,山口県立大学生命倫理委員会の承認を得て行った.
【結果】小学部34.1%,中学部31.1%,高等部26.4%,全体694組,30.2%の回答が得られた.全学部の子どもの性の興味,関心の様子では,おしゃれ31.4%,男女のからだの違い27.5%,異性意識26.5%の順に多かった.学部間の比
較では,中学部では,異性意識(p< .01),性情報への対応,結婚(p<.05)が有意に高く,高等部では,おしゃれ,清潔,異性意識,告白,恋愛,デート,キス,性的接触,結婚(いずれもp<.01)が有意に高かった.性別による
比較では,男性よりも女性で,おしゃれ,告白,恋愛,デート,妊娠,出産,育児,結婚(いずれもp<.01)が有意に高かった.障害種別による比較では,自閉症スペクトラム症がある群がない群よりも,体の成長の項目が有意に
高く(p<.05),おしゃれが有意に低かった(p<.05).
【結論】障害種別や所属学部によって,子どものセクシュアリティの学習ニーズが異なることを踏まえ,教育内容を検討する必要がある.