既婚女性の33.6%に結婚後人工妊娠中絶の経験があると報告されている。既婚女性の人工妊娠中絶を減少させることは喫緊の課題であり、医療者はリプロダクティブヘルス/ライツの観点から、既婚男女が家族計画を立て、確実に避妊ができるよう支援する必要がある。既婚男女の「避妊に関する知識」、「避妊に対する意識」、「避妊に対する困難性」が「避妊の実行」にどのように影響するのかを男女別に構造を確認し、示唆を得ることを目的として調査を行った。株式会社マクロミルによるインターネット調査を行った。日本に在住している日本人既婚者を対象として調査を行った。男性は18歳以上、女性は妊孕力がある者を対象にするため16歳~45歳を調査対象とした。男性1665名、女性1670名の回答が得られた時点で調査終了とした。調査期間は2022年2月22日~同年2月24日であった。所属施設の倫理審査委員会で承認を得て調査を実施した(管理番号694-1)。3,335名から回答が得られ、男性1,665人(49.9%)、女性1,670人(50.1%)であった。平均年齢は、男性40.4±6.9歳、女性35.7±5.8歳であり、男性で有意に年齢が高かった(p<0.001)。結婚前に人工妊娠中絶の経験がある女性は152人(9.1%)、回答拒否64人(3.8%)、結婚後に人工妊娠中絶の経験がある女性は77人(4.4%)、回答拒否65人(3.9%)であった。多母集団同時分析の結果、男性では「避妊に関する知識」、「避妊に対する意識」が「避妊の困難性」に影響し、「避妊に対する意識」が「避妊の実行」に影響していた。女性では「避妊に関する知識」、「避妊に対する意識」が「避妊の困難性」に影響し、「避妊に対する意識」、「避妊の困難性」が「避妊の実行」に影響を与えていた(自由度=2,カイ乗値=3.244<!--[if !supportAnnotations]--><!--[endif]--> 、有意確率=.198、GFI=1, AGFI=0.995, CFI=1, RMSEA=0.014,AIC=39.244)。モデルの構造は男女で異なっていたことから、避妊に関する指導を行う際は、性差を考慮して実施する必要性が示唆された。