【目的】
アカモクは近年、食物繊維であるフコイダンや、ポリフェノール等を豊富に含む食品として注目を集めており、山口県においても様々な加工品が製造・販売されている。一方、本種に関するこれまでの研究では、ミネラルやフコイダン等の含有量や季節的変化に関する研究は行われているものの、調理・加工工程における食品特性の変化に関する研究は、他の海藻と比べほとんどなされてないのが現状である。そこで今回は、前処理方法の違いが加工済みアカモクの食品特性に与える影響について検討することを目的とした。
【方法】
試料は、平成29年5月および10月、平成30年3月に、山口県長門市の水産加工業者から、湯通しミンチ処理後、凍結保存したアカモクを購入し、適宜解凍して以下の検討を行った。①加熱温度による物性および色調の変化、②乾燥方法の違いによる物性および色調の変化、③乾燥品の水戻し条件の違いによる物性および色調の変化。なお、物性はクリープメーターを用いて粘度、付着性および付着力により評価し、色調はL*a*b*表色系を用いて評価した。
【結果】
①加熱温度の検討においては、アカモクの物性は解凍直後の加熱温度や購入時期により違いが見られた。また、色調は加熱温度が高いほどa*値が高くなる傾向を示した。②乾燥方法の検討においては、凍結乾燥の方が温風乾燥と比較して、粘着性の高い物性を示した。色調は温風乾燥の方がa*値が高くなる傾向を示した。③乾燥品の水戻し条件の検討においては、乾燥方法によらず、どちらも水戻し温度が高い方が粘着性の高い物性を示した。色調は水戻し温度が高い方がa*値が高くなる傾向を示した。