【目的】アカモク(Sargassum horneri)はホンダワラ科の褐藻である。近年、マスコミ等で取り上げられ新規食材として全国的に注目を集めているが、従前は一部地域でのみ食されてきた海藻である。本研究では、アカモクを食する文化のない地域の一例として山口県を対象とし、アカモクの認知度に関するアンケート調査を実施した。
【方法】調査1では、大学の栄養学科同窓会でアカモクを昼食会メニューの1つとして提供し、参加者(主に管理栄養士)53名にアンケート用紙を配布して調査を実施した。調査2では、山口県長門市の道の駅来訪者102名にアンケート用紙を配布し調査を実施した。
【結果】調査1:回答者の属性は、女性が83%、居住地域としては山口県内が79%と多くを占め、年齢層は、30代、50代、60代の順に多かった。アカモクを認知している者が全体の81%である一方で、認知している者の内、食べた経験があるのは43%のみであった。アカモクの食味に関しては9割以上の者が「普通」もしくは「良い」という評価をしていた。
調査2:回答者の属性は、女性が65%、男性が30%、居住地域は山口県内と県外でおよそ半数ずつ、年齢層は40代~70代であった。対象者の63%がアカモクを認知しており、その半数はテレビを通してアカモクを認知していた。認知している者の内69%はアカモクの食経験があった。
いずれの調査においても今後アカモクが普及するために必要な情報として「機能性に関する情報」と「利用法(レシピ)に関する情報」が最も求められていた。
【結論】アカモクは、メディアを通して注目されたこともあり一般的に認知されているが、山口県では食経験が他の海藻類に比べ少なく、日常的に家庭等で利用されるには至っていなかった。今後、食材としての定着を図るためには、アカモクの利用方法および機能性に関する情報の周知が必要であると考えられた。