【目的】粥は臨床現場において主食として重要な役割を持つ。本研究では、エネルギーやたんぱく質強化のため、プロテインパウダー、中鎖脂肪酸TG(MCT)を添加したミキサー粥を試験的に調製し、加熱温度と加熱後の経過時間がその物性に及ぼす影響について検討することを目的とした。
【方法】(1)試料:白がゆ(味の素)、プロテインパウダー(エンジョイプロテイン、森永乳業)、MCTパウダー、MCTオイル(日清オイリオグループ)を用いた。白がゆをミキサーにかけ均一化した後、濃度を変えプロテインパウダー、MCTパウダー、MCTオイルを添加し、それぞれ60℃、80℃、95℃で5分間加熱した。加熱直後、室温で30分、60分静置後にテクスチャー測定を行った。(2)テクスチャー測定:嚥下困難者用食品の測定条件を用い、クリープメーター(RE2-3305, 山電)を用いて、かたさ、付着性、凝集性を測定した。
【結果及び考察】(1)プロテインパウダー添加: 80℃、95℃で加熱した場合、粥100gに6g添加を境としてかたさ、付着性が有意に増加した。添加量が多くなると、80℃、95℃での加熱は、60℃での加熱と比較してかたさ、付着性が有意に増加した。凝集性については、いずれの条件でもほとんど差が認められなかった。(2) MCTパウダー添加:MCTパウダーを添加した粥は加熱温度が60℃から80℃、95℃へと高くなるにつれて、かたさ、付着性が低下した。凝集性については、いずれの条件でもほとんど差が認められなかった。(3) MCTオイル添加:加熱温度が高くなるにつれて、かたさ、付着性が低下した。凝集性については、いずれの条件でもほとんど差が認められなかった。
【結論】かたさ及び付着性の観点から、プロテインパウダーをミキサー粥に添加し加熱する場合は、粥100gあたり6g以下とすることが望ましいと考えられた。また、MCTパウダー、MCTオイルを添加する場合は、80℃以上で加熱して温かいうちに喫食することが望ましいと考えられた。