【目的】岩国レンコンは山口県岩国市で栽培され、独特の粘りとシャキシャキした食感が特徴で、早生種、晩生種を合わせると8月から翌年4月まで長期にわたって収穫される。本研究は、収穫時期が異なる岩国レンコンの熱凝固性について明らかにすることを目的とした。
【方法】岩国市のレンコン加工販売業者から購入した令和4年9月収穫の早生種(品種不明)、10月、11月収穫の白花種を、生の状態ですりおろしたものを試料とした。ステンレスシャーレに詰めた試料を減圧バッグに入れ80~95℃に設定した熱水中で湯煎加熱し、クリープメーター(RE2-3305 山電)のテクスチャー解析モードを用いて、かたさ、付着力、付着性、凝集性を測定した。すり流し汁を想定した粘度は、B型粘度計(BM型 東機産業)を用いて測定した。各レンコン試料から抽出した粗デンプン量、ぶどう糖、果糖、ショ糖量は酵素法キット(J.K.インターナショナル)を用いて測定した。
【結果】テクスチャー解析において、85℃、10分の加熱条件においても早生種と比べ白花種でかたさ、付着力、付着性は小さい値を示したことから、白花種は早生種と比較して加熱によって柔らかくなり易く、付着力、付着性が低下しやすいと考えられた。凝集性には品種や温度による差がみられなかった。すり流し汁を想定した条件下の粘度は、収穫時期が遅くなるほど高い値を示した。粗デンプン含量も11月白花種が多く、9月の早生種が少なかった。レンコンに含まれる糖は、9月白花種において他のレンコンに比べてぶどう糖と果糖が多く、ショ糖が少なかったが、各レンコンの総糖量には差がみられなかった。
【結論】岩国レンコンと称されるレンコンにおいて、品種や収穫時期によって、すりおろし加熱した際の熱凝固性は異なり、その理由としてデンプン含量が影響を与えていると考えられた。