【目的】岩国れんこんは山口県岩国市を中心に栽培されているれんこんで、その8割は伝統的品種「白花種」であり、郷土料理である岩国寿司などに利用されてきた。本研究では、新規のれんこんの利用法としてれんこんを乾燥・焙煎して健康茶に加工した場合の食品機能性を検討した。
【方法】(1)試料:2023年9月及び10月購入の岩国れんこんを用いた。れんこんは皮付きの状態で厚さ1.2㎜にスライスし、乾燥機を用いて50℃で約20時間乾燥した。焙煎はオーブンレンジを用いて設定温度140℃、180℃、200℃、焙煎時間は15分と30分の各条件で行った。未焙煎または各条件で焙煎したれんこんを乳鉢で砕き、2gに対して100℃の湯100mlを加え5分浸出したものをれんこん茶浸出液とした。(2)色差:測色色差計を用い茶と浸出液について色差の測定を行った。(3)ポリフェノール量・抗酸化性:上記の浸出液を用い、ポリフェノール量はフォリンデニス法、抗酸化性としてDPPHラジカル捕捉能を測定した。(4)試飲調査:学生男女18人を対象として味や香りについての評価を行った。
【結果】(1)色差:れんこん茶は、焙煎時間が長いほど明度が下がり、黄味が減った。(2)ポリフェノール量・抗酸化性測定:ポリフェノール量は焙煎試料で未焙煎試料より高くなった。焙煎140℃では焙煎時間が長いほどポリフェノール量が増加したが、焙煎200℃では焙煎時間が長くなるほどポリフェノール量が減少した。DPPHラジカル捕捉能も、ポリフェノール量と同様の結果となった。(3)試飲調査:180℃・15分間焙煎が総合評価で最も好まれた。
【結論】れんこん茶は焙煎を行なうと溶出するポリフェノール量が増えた。焙煎温度が高い場合は焙煎時間が長くなるとポリフェノール量が減少した。嗜好調査とポリフェノール量・抗酸化性の結果から、180℃・15分間焙煎が最も望ましいと考えられた。