聴覚末梢系モデルから抽出した耐雑音性をもつスペクトル情報

第45回人間工学会中国・四国支部大会講演論文集, pp.138-139

人間工学会中国・四国支部

倉敷

2012/12/15

畔津忠博, 安福正啓, 末竹規哲, 内野英治

人間の聴覚系は，非常に高機能な情報処理を行なっている．例えば，我々の日常会話の場面において，目的とする音声だけが存在することはまれであり，他の雑音と混在した信号が提示される．しかし，人間はそうした状況下においても，必要な情報のみに注目して会話をすることができる．現在広く用いられている，統計モデルに基づく音声情報処理システムは，非常に高機能ではあるが，環境に対する柔軟性を持つ人間の聴覚系には，はるかに及ばないところが多い．本報告では，聴覚末梢系モデルから耐雑音性をもつスペクトル情報を得るための方法を提案する．提案するモデルでは，基底膜，有毛細胞，聴神経の代表的なモデルを接続し，その中の聴神経モデルにおいて適応的なパルスを発生させるためのし
きい値決定法を考案した．提案手法の有効性は，ノイズ環境において提案手法から得られたスペクトル情報と外耳，中
耳の伝達特性を考慮したスペクトル情報であるExcitation patternとを比較することにより確認した．