大学初年次生における情報リテラシーとPCの使用開始時期との関係
情報処理学会研究報告, Vol.2019-CE-152, No.8, pp.1-7
オンライン
2019/11/16
吉永敦征、畔津忠博
本論文ではアンケート結果に基づき,大学初年次生が獲得している情報リテラシーとパソコン(PC)の使用開始時期との関係について報告する.情報リテラシーが獲得できているかどうかの指標として,PCの入力に関する主観的評価を採用した.この指標に基づいて学生を情報リテラシーの高いグループと低いグループに分けて,それぞれのグループに属する学生の特徴を調べた.その結果,特に小学生のときに家庭でPC の使用を始めた学生は,情報リテラシーの指標が高い傾向にあった.このことから,情報リテラシーは家庭環境に依存する文化資本であり,その獲得においてはPC 等の情報端末を利用する時期が重要であることが示唆される.また,情報リテラシーの指標が高い学生は,一般に良く利用されるPC のアプリケーションの利用率が高かった.その一方で,小学生のときに自宅でPC に触れていない学生であったとしても,情報リテラシーの指標が高い学生が一部存在しており,学校教育が有効である可能性も存在している.