本稿の目的は,ピア・サポートによるライティング支援について,支援者として関与する学生スタッフの意識に焦点を当て,その現状と課題を明らかにすることである。
ライティングスキルは,大学の学習における基礎的能力,知識のアウトプットであるだけではなく,構成主義的学習観における学習の完成をも意味する。そして,今日行われているライティング支援は,正課のなかで実施されている場合もあれば,正課外プログラムとして実施されている場合もある。その支援者としては,教員によるものに加えて,上級生や同級生によるピア・サポートの形式を採る事例も増加している。
本稿では,大学院生が図書館職員の指導の下でピア・サポート活動を行う大学と,大学生がライティング授業の発展的活動として,教員のコーディネートの下でピア・サポート活動を行う大学について,ピア・サポーターへのインタビュー調査を行った。インタビュー結果を計量テキスト分析することによって,ライティング支援の展開過程,ピア・サポーターの意識を探索的に明らかにした。