どのような暮らし方をすべきかを提案する家事アドバイザーは19世紀初期のアメリカで誕生し、発展し、活躍し、今日に通じるキャリアを切り開いていった。家の構造から家庭装飾まで、家の中に持ち込む家具から装飾品に至るまで、素材や形や色といったさまざまな視点から、かくあるべきという提案をした背景には、時代や社会をかたちづくる思想や価値観があった。そして、家事アドバイスを通して、社会を変え、つくるという認識があった。アメリカの事例であるが、アメリカ型社会の構築を目指してきた日本の暮らしについて見直す素材を与えてくれる。