本稿は、令和2(2020)年度山口県立大学研究創作助成金を得て大学院で行った教育改善プロジェクトについて報告するものである。本年度当初には新型コロナウィルスにより全国の大学が対面授業からオンライン授業に変更を余儀なくされたが、本学大学院ではその前から学習者中心の教育パラダイムやeラーニング大学といった新しい動向に着目し、インストラクショナルデザインやブレンド型学習に基づく大学院教育改革を進めていた。2030年の社会に向けた教育振興計画や2040年の近未来を目指した大学院教育改革等においては、ともすればICT技術の活用やデジタル化といったことのみに着目されがちであるが、学習者中心の教育パラダイムへのシフトは「学校」「キャンパス」といった場そのものや、一斉授業という方法を一新する破壊的イノベーションにつながる理論である。そのため、研究プロジェクトでは先進的な理論や実践例を調査し、特に熊本大学大学院のインストラクショナルデザインの考え方に学ぶ企画を立てた。それを踏まえて大学院における2科目を改善する案を模索し、令和3(2021)年度からブレンド型学習を試行すべく検討を行った。その歩みはまだ第一歩を踏み始めたばかりであり、本稿は途中経過の報告となるが、with/afterコロナのニューノーマル時代の新たなライフスタイル、そこでの新しい学びの形を描いて、さらに検討を続けていく。