2020年度の新型コロナウイルス感染症対策の観点から,多くの大学で遠隔授業を取り入れることとなった。これに先だち,山口県立大学大学院では新しい時代に向けたeラーニング大学の動きを見据えて,インストラクショナルデザインをふまえたブレンド型学習の導入を目指し、山口県立大学研究助成に申請を行った。全国的に開始されたポスト・コロナの大学あるいは大学院院教育の検討とも一致することとなったが,コロナがあろうとなかろうと推進すべき方向性を模索している。一方で,すべての科目が一斉にオンラインになった2020 年度前期の講義・演習・実習科目については,山口県立大学大学院国際文化学研究科修士課程および健康福祉学研究科博士前期・後期課程における実態について,大学院生および担当教員を対象にWEBによるアンケート調査を行った。その結果,新型コロナウイルス感染の心配があるという消極的な理由からだけでなく,特に留学生や社会人学生が多い本学大学院においては,時間的制約や場所的制約がない遠隔授業を希望している院生が92%と多いことが明らかになった。また、教員においても、概ね遠隔授業に満足しており、75%の教員が今後も遠隔授業を続けたいと回答していた。以上のことから、ポスト・コロナ時代に向けて、より充実した遠隔授業の展開とともに,学生中心の教育パラダイムの理論に基づいた新しい学びのスタイルを導入した大学院教育を試行していくことが重要であると考えられた。