わが国における不妊治療経験者の心理に関する文献研究
山口県立大学学術情報
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49-56
佐々木直美
本論では、不妊治療を行う動機、負担感、さらに不妊治療後妊娠者と自然妊娠者の妊娠や対児感情の比較を扱った先行研究を取り上げ、不妊治療経験者の心理に関して概観した。治療を行う動機には、家の存続、子育ての欲求、妊娠できる自己の確認などがあったが、子を望む欲求とは身体の中に根ざす本能と考えられた。不妊治療後妊娠者と自然妊娠者の妊娠経過への不安感や児への感情の比較から、不安は妊娠形態によるものというよりは個人特有のものであることが推察された。