最近では以前に比べてニュースやテレビ番組でセクシュアル・マイノリティが取り上げられることが増えたが、セクシュアル・マイノリティに対する知識の不確かや曖昧さは未だ多いと推測される。そこで本研究では、大学内で実施する男性同性愛者当事者による講演会に参加することが男性同性愛者に対するイメージの変容につながるかどうかについて検討を行った。対象は、A県の大学生、学内の教職員および外部の保健センター職員であり、講演会への参加は自由意志とした。講演会の構成は、同性愛者に対する対応の仕方に関する講演会や当事者2名による人生の振り返りに関する対談が中心であった。まず、同性愛に関するイメージ尺度の因子分析を行った結果、「危険さ」「身近さ」「幸福さ」の3因子が抽出された。それを用いて講演会の参加前後でイメージの比較を行った結果、大学生もそれ以外の職員も講演会後では危険さが減少し、身近さと幸福さが増していた。また講演会での学びが今後どのように活かせると考えるかに関する自由記述では、「人も性も多様であることを認める」、「同性愛者を尊重し、理解ある態度で接することができる」といった性の多様性の理解や同性愛者への適切な対応や、「友人・他者にも同性愛者への関わり方や理解を伝える」、「セクシュアル・マイノリティ理解のための社会啓発活動への意欲」といった他者や社会に同性愛に関して正しい理解を求める態度などが見受けられた。