【目的】こんにゃくの主成分は難消化性のグルコマンナンであるため,低エネルギーであり整腸作用や血糖値上昇抑制作用等の生理機能性を持つ.こんにゃくの利用性を発展させることでこんにゃくの摂取を促進させることを研究の目的とし,こんにゃくを副材料としてフランスパンを作製した.さらに,こんにゃくを pH 調整処理あるいはあく抜き処理することによりパン焼成後のこんにゃく臭を低減させることができないかについても検討した.
【方法】こんにゃく材料は市販の生芋製板こんにゃく,市販の精粉製糸こんにゃく,あるいはこんにゃく芋から調製されたこんにゃく精粉を用いた.こんにゃく材料をゾル状またはムース状に調製し,パンの材料として配合して自動ホームベーカリーを用いてフランスパンを調製した.焼成後のパンの膨らみ,硬さ,色調を測定し,官能評価を行った.
【結果】生芋製板こんにゃくを添加したパン及び精粉製糸こんにゃくを添加したパンは,こんにゃくを添加していないフランスパン(標準パン)よりわずかに膨らみが小さかった.こんにゃく精粉を添加したフランスパンは,標準パンより膨らみが大きかった.また,各種こんにゃく素材を添加したパンは,いずれも標準パンより軟らかかった.pH 調整処理あるいはあく抜き処理したこんにゃくを添加したパンは,こんにゃく臭が低減され好まれた.
【考察・結論】生芋製板こんにゃくを添加したパン及び精粉製糸こんにゃくを添加したパンの膨らみが小さくなったのは,生地中の水分が多かったことに加えて,こんにゃくの高い保水性が原因であると考えられる.