甲原(2013)は,共同作業認識を構成する3つの成分の内,協同効用が互恵懸念を経由し,個人志向に作用するという関係があることを示している。本研究では大学の初年次学生を対象に年間を通して計測することで,効果が再現するか否か検討するとともに,学年末に非協同的な態度を示す学生が,どのような特徴を持っているか検討した。結果から,本研究では先行研究とは異なり,協同効用が個人志向を経由し,互恵懸念に作用するという関係性が存在することが示された。また学年末において非協同的な学生について,協同的な入学生がそのまま協同的な学生になるわけではなく,入学当初の人間関係の方が学期末の共同作業認識を予測しやすいことが示された。