『救饑提要』における山口方言植物・海産物語彙(1)
山口県立大学基盤教育紀要
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53-75
椙村知美、池田史子
本稿の目的は、嘉永3年(1850年)、萩藩主毛利慶親(後の敬親)の命を受けて、布施(ふせ)御牆(みかき)によって編まれた『救饑(きゅうき)提要(ていよう)』に挙げられた救荒食物について検討し、その標準和名を比定することである。『救饑提要』における当時の山口方言特有の語及び中央語と同じ呼び名であるものを併せて、その全容を明らかにする。そのことで、日本人が度重なる災害を乗り越えるために利用してきた植物や海産物を知ることにつながり、不測の時代における持続可能な食文化継承の一助となる。